人類の生活を豊かにする発酵食品

発酵という言葉を聞いて最初に思い浮かべるのは、きっと食品ではないでしょうか。
昔から日本の食卓に並んで来た漬物や納豆や、醤油・みりん・酢などの
調味料も発酵で作ります。パン、チーズ、ヨーグルト、さらに日本酒・ビール・ワインなどのアルコールも加えると、誰もが1日1品は口にしていそうです。

食品を発酵させる事には、

① 保存性を高める
② 栄養価を高める
③ うま味と香りを増す
④ 消化をよくする

などのメリットがあります。冷蔵庫のなかった昔は保存性を上げることが特に有用でしたが、
現代では、独特の味や香り、発酵前の食品にはない栄養が高く評価されます。
特に最近は、腸内に多種多様な菌がびっしり群生している様子を表す
「腸内フローラ(=花畑)」という言葉がよく聞かれ、
これを整え健康に導くものとして発酵食品が注目を浴びています。

発酵と腐敗は、紙一重の現象?

ところで、この発酵を担っているのは微生物です。
発酵とは、一定の条件下で
「微生物の作用によって有機物が分解・変化して、何らかの新しい物質を生成する」
現象と定義されます。中でも「人間にとって有益なもの」が発酵と言われます。
食物が傷んでしまう腐敗も似たような現象ですが、人間にとって有益ではないので発酵とは言われません。

起源はヨーグルト?

発酵食品の起源には諸説ありますが、
「遊牧民が旅する時に水筒に乳を入れて持ち運んでいたところ、
白い塊と透明な液体に分離しており、白い塊をなめてみると独特の酸味があっておいしかった」
というヨーグルト起源の話がよく聞かれます。ヨーグルトも他の発酵食品も、偶然に起こった発酵を、試行錯誤を重ねて人間が長い年月をかけて技術として構築していったのです。

ということは、発酵は、微生物という自然と人間が紡いで来た共同作業と
言えるかもしれません。
今までもこれからも、発酵のチカラは、おいしさや健やかさで世界中の人々の暮らしをサポートし、なくてはならないものとして受け継がれ、さらに発展していくことでしょう。