2001年にライスパワーNo.11の効果「皮膚水分保持能の改善」が医薬部外品の新規効能として認められてすぐ、2002年1月にライスパワーNo.11を有効成分とする自社商品『アトピスマイルクリーム』を発売しました。
その発売は正に、ライスパワーエキスが世間に受け入れられた瞬間だったのです。
人生初の記者会見
2002年1月31日。香川県高松市の商工会議所にて勇心酒造の新商品、『アトピスマイルクリーム』発売の記者会見が開かれました。
「当社はライスパワーNo.11を有効成分とする、アトピスマイルを発売します。
ライスパワーNo.11は米から抽出した新素材であり、医薬部外品の新規効能『皮膚水分保持能の改善』が認められています。
それは乾燥肌の改善や、乾燥などが原因で起こる肌トラブルの予防効果が期待できます。」
人生で初めての記者会見に徳山は幾分緊張しており、用意しておいた原稿を一気に読み上げました。
――記者の人に関心を持ってもらえるのだろうか。
そんな心配は無用でした。徳山の想いをよそに、原稿を読み上げた徳山には記者から矢継ぎ早に質問が飛んできたのです。
「ライスパワーエキスのことをもっと詳しく教えてください」
「従来の保湿クリームとの違いは?」
「皮膚水分保持能とは何ですか?」・・・
記者からの質問にできるだけ丁寧に、わかりやすく答えながら、徳山は心の中で安堵しました。これでライスパワーエキスをやっと世に出せ、多くの人に知ってもらえる。これまでの研究がついに日の目を見るのだと、感じました。
世に受け入れられたアトピスマイルクリーム
記者会見の後、アトピスマイル発売の記事を翌日から新聞各紙が掲載しました。掲載紙の中には全国版で報じた新聞もあり、記者会見の翌日からは勇心酒造への問い合わせの電話が全国から殺到しました。記者会見の反響は、徳山の予想をはるかに超えていたのです。
朝から晩までアトピスマイルクリームの販売や問い合わせで、会社中の電話が鳴りっぱなしの日々が続きました。アトピスマイルクリーム初回生産分の10,000本は2週間で完売。当時の社員は5名、電話は最大で7回線。到底対応しきれるはずもなく、徳山の家族まで手伝いに駆り出され対応を行いました。毎日、電話対応を終えると、深夜まで商品の発送作業に追われる・・・そんな状態が半年間は続きました。
昼夜、休日を問わず電話が鳴り続ける中、徳山は社長室の自席に座り外線着信を知らせる電話機の赤いランプが慌しく点滅している様子に視線を落としました。そのとき脳裏に浮かんだのは苦難の連続だった30年に渡る研究開発の日々。酒屋の跡継ぎとして、台所で研究を行った日々、底をついた研究費、困ったときに手を差し伸べてくれた仲間たち・・・。
――これまでの研究が、むくわれた。
苦労の連続だった日々が、はるか遠い昔のことのように感じられました。